フリーランスの老後資金って、どうやって準備すればいいの?
会社員みたいに厚生年金がないから、老後が不安でしかない!
わかります。フリーランスになって最初に気づく「落とし穴」のひとつが、この年金問題ですよね。
正直に言うと、フリーランスの老後資金は会社員の「自動的な積み立て」とは別物として、自分で戦略を持って動かないとかなりキツいです。
でも、国の制度をうまく使えば節税しながら老後資金を増やすことができます。むしろ会社員よりも使える控除枠が大きい側面もあるので、知っているだけで動き方がまったく変わります。
この記事では、そんなフリーランスの老後資金の準備方法について詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- フリーランスと会社員の年金差(月約9万円)の実態
- 老後資金準備に使える5つの制度の特徴と違い
- 節税効果が高い順の「始める優先順位」
- 収入が不安定でも積み立てを続けるコツ
フリーランスの老後、年金は月7万円という現実
まず現実の数字を確認しましょう。
「なんとなく年金が少ない」とは知っていても、具体的にどのくらい差があるのか把握していない方は多いです。
ここでは、以下の内容について詳しく解説します。
フリーランスの老後年金の現実
- 会社員との年金差が月約9万円あること
- 老後の生活費と年金のギャップの計算
会社員との年金差は月約9万円
2026年度(令和8年度)の老齢基礎年金(満額)は月額70,608円です(一般社団法人 公的保険アドバイザー協会より)。
これは20歳から60歳までの40年間、保険料を1回も欠かさず支払った場合の金額です。
一方、会社員は老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせて月平均約16万円を受け取ります。
差額は月約9万円です。年間に換算すると約108万円、20年間では約2,160万円の差になります。
フリーランスと会社員の年金差
- フリーランスの基礎年金(満額):月70,608円
- 会社員の年金(厚生年金込み):月約16万円
- 差額:月約9万円 / 年間約108万円
老後の生活費と年金のギャップを数字で見る
年金の差だけでなく、実際の生活費との差も計算してみます。
生命保険文化センターの2025年度調査によると、夫婦2人の老後生活費の目安は次のとおりです。
| 老後の生活スタイル | 月額の目安 |
|---|---|
| 最低限の日常生活費 | 23.9万円 |
| ゆとりある老後 | 39.1万円 |
フリーランス夫婦2人が基礎年金のみを受け取ると合計月約14万円です。
最低限の生活費23.9万円には約10万円届かず、65歳から85歳の20年間で不足する額は単純計算で約2,400万円になります。
注意点
「老後2000万円問題」はあくまで会社員ベースの試算です。フリーランスの場合、自分で動かなければ不足額はさらに大きくなります。早めに制度を活用して備えることが、その差を埋める唯一の方法です。
フリーランスの老後資金準備に使える5つの制度
フリーランスが使える老後資金準備の制度は5つあります。節税しながら積み立てられる3つと、さらに上乗せできる2つをあわせて解説します。
ここでは、フリーランスの老後資金の準備で使える制度について解説します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、フリーランスが使える老後資金制度のなかで最も税制優遇が充実しています。
フリーランス(第1号被保険者)の場合、月5,000円〜68,000円まで拠出でき、掛金は全額所得控除になります。
iDeCoの3つの税制優遇
- 掛金が全額所得控除:拠出した分だけ課税所得が減る
- 運用益が非課税:通常20.315%かかる税金がゼロ
- 受取時も控除あり:一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除が使える
年収500万円で月3万円(年36万円)拠出すると、年間約7〜9万円の節税効果があります(所得税・住民税合算)。
私は独立3年目に月2万円からiDeCoを始めました。最初は「60歳まで引き出せない」という制約が怖くて躊躇しましたが、逆にそれが「強制貯蓄」として機能していて、今ではこの制約が精神的に助かっています。
iDeCoの注意点
- 60歳まで引き出せない(原則)
- 元本割れリスクあり(投資信託で運用する場合)
- 口座維持手数料(年間約2,000〜6,000円程度)がかかる
小規模企業共済
小規模企業共済は、フリーランスのための「退職金制度」だと理解するとわかりやすいです。
月1,000円〜70,000円の範囲で積み立て、廃業・解約時にまとめて受け取れます。
掛金は全額所得控除になり、iDeCoとは別枠の上限です。両方使えば最大で月13.8万円分(7万円+6.8万円)の所得控除を受けられます。
小規模企業共済のポイント
- iDeCoとは別枠で使える(合計月13.8万円まで所得控除可)
- 廃業・解約時の一時金は退職所得として課税優遇あり
- 緊急時は掛金の範囲内で低金利融資を受けられる
私が税理士に最初に勧められたのがこの小規模企業共済でした。「フリーランスに退職金はないと思っていませんか?この制度を使えば自分で作れますよ」と言われ、その日のうちに申し込んだのを覚えています。
注意点
加入期間12ヶ月未満で解約すると元本割れします。また、任意解約(廃業以外での解約)は加入年数によって受け取り率が変わります。長期前提で始めることが大前提です。
国民年金基金
国民年金基金は、会社員の厚生年金に相当する「2階建て部分」を自分で作る制度です。
iDeCoと合算して月最大68,000円まで加入でき(共有の上限)、掛金は全額所得控除になります。
終身年金(死ぬまで受け取れる)という点が最大の特徴です。「長生きリスク」を考えると、受け取り期間が確定しない終身型の安心感は格別です。
国民年金基金のポイント
- 一生涯受け取れる終身年金(長生きリスクに対応)
- 掛金全額所得控除で節税効果あり
- 運用リスクなし(受取額があらかじめ確定している)
ただし、iDeCoと上限を共有するため「両方フル活用」はできません。また、後述する「付加年金」とは択一制になっています。どちらを選ぶかは、後述の優先順位で整理します。
付加年金(月400円から始められる)
付加年金は、月400円を国民年金に上乗せするだけで将来の年金を増やせる制度です。
将来受け取れる付加年金額は「200円 × 加入月数」です。20年(240ヶ月)加入すれば月4,800円増え、年間57,600円増えます。
支払った保険料の合計は240ヶ月分で96,000円なので、受給開始から2年で元が取れる計算です。コスパとしては制度のなかでトップクラスです。
付加年金の特徴
- 月400円という超低コスト
- 2年で元が取れる高い費用対効果
- 市区町村の窓口またはオンライン申請で手続き可能
注意点
国民年金基金に加入している場合は付加年金を使えません(択一制)。国民年金基金を選ぶか、付加年金+iDeCoを選ぶか、どちらかになります。付加年金を使いたい場合は、iDeCoを優先して国民年金基金には加入しない選択になります。
新NISA(年間360万円まで非課税運用)
新NISAは2024年から始まった非課税投資制度で、老後資金を「運用益ゼロ税」で増やせます。
年間最大360万円(成長投資枠240万円+つみたて投資枠120万円)まで非課税で運用でき、生涯投資枠は1,800万円です。
iDeCoと異なりいつでも引き出せるのが最大の違いです。掛金の所得控除はない(節税にはならない)ですが、運用益と売却益がすべて非課税になります。
新NISAのポイント
- 運用益・売却益がすべて非課税(通常は20.315%かかる)
- いつでも引き出せる(流動性が高い)
- 長期積立(インデックス投資信託)との相性が良い
フリーランスの老後資金として新NISAを使う場合、iDeCoや小規模企業共済を使い切ってからでも遅くありません。「節税で浮いたお金をNISAに回す」という流れが最も効率的です。
老後資金の準備と同時に、収入そのものを伸ばす戦略も有効です。フリーランスとしてAIを活用して生産性・収入を高める方法については、フリーランスのAI活用総まとめ|副業・効率化・生存戦略まで全解説でまとめています。
フリーランスの老後資金、5つの制度を始める優先順位
5つの制度をすべて同時に始める必要はありません。節税効果が高い順に使い切っていくのが基本戦略です。
ここでは、以下の内容について詳しく解説します。
5つの制度を始める優先順位
- 節税効果が高い順に使い切る基本ルール
- 各制度の月額・節税効果・流動性の比較表
| 制度 | 月額上限 | 節税効果 | 流動性 |
|---|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 7万円 | 全額所得控除 | 低(廃業時等) |
| iDeCo | 6.8万円 | 全額所得控除+運用益非課税 | 低(60歳まで引き出し不可) |
| 国民年金基金 | iDeCoと合算6.8万円 | 全額所得控除 | 低(脱退制限あり) |
| 付加年金 | 400円 | 社会保険料控除 | 低(解約不可) |
| 新NISA | 月30万円(年360万円) | 運用益非課税 | 高(いつでも引き出し可) |
推奨する始め方の順番
- ①付加年金を申請する(月400円・国民年金基金に入らない場合)
- ②小規模企業共済を月1万円から開始(全額所得控除・iDeCoと別枠)
- ③iDeCoを月5,000円〜1万円から開始(節税+運用益非課税)
- ④余裕が出たら新NISAでインデックス投資を追加
収入が安定してきたら小規模企業共済とiDeCoの掛金を段階的に増やしていくと、節税効果が雪だるま式に大きくなります。
フリーランスの老後資金準備、年代別の動き方
老後資金準備に「遅すぎる」ことはありません。ただし、始める年代によって優先することが変わります。
ここでは、以下の内容について詳しく解説します。

30代から始めると差がつく理由
30代のうちに始めるメリットは、ズバリ複利の時間が長いことです。
月3万円を年利4%(保守的な長期平均の目安)で35年積み立てると、65歳時の試算は約2,800万円になります。
一方、40歳スタートで同じ条件だと約1,500万円です。10年の差が、1,300万円以上の差を生みます。
30代の優先アクション
- 金額は少なくていいのでまず口座開設して「仕組みを作る」
- 小規模企業共済:月1万円から(確定申告で節税効果を実感してから増額)
- iDeCo:月5,000円〜1万円から(投資信託の選定に時間をかけすぎない)
- 新NISAのつみたて投資枠でインデックスファンドを月1〜3万円
「始めること」が最優先です。掛金の最適化は後からいくらでもできます。
40代がいますぐやるべきこと
40代は年収がピークに近づき、節税効果が最大になる時期です。
年収600〜700万円台であれば、iDeCo(月6.8万円)と小規模企業共済(月7万円)をフル活用すると年間控除額は約166万円。節税額は所得税・住民税合わせて年間40〜50万円以上になることもあります。
40代の優先アクション
- 確定申告の書類を見直し、控除の取りこぼしがないか確認する
- iDeCoと小規模企業共済の掛金を増やせるか収支を計算する
- 節税で浮いた分を新NISAに回す流れを作る
40代から本格的に動き出しても十分間に合います。ただし「来月から」を繰り返していると、あっという間に50代になります。これは本当によくあるパターンです。
確定申告での節税については、フリーランスエンジニアの確定申告|詳しい手順と節税・サービスを解説もあわせて確認してください。
50代から始めても間に合う行動
50代から老後資金準備を始めることへの不安、よくわかります。でもやらないよりずっとマシですし、残り時間で大きな差が作れます。
iDeCoは2022年の法改正で65歳まで加入可能になりました。50代から始めても10〜15年は運用できます。
小規模企業共済の場合、月7万円を10年間積み立てると840万円(+運用分)が廃業時に受け取れます。廃業・解約時の退職所得控除(加入年数に応じた控除)を使えば、税負担も大きく軽減できます。
50代の注意点
老後まで時間が短いため、流動性の低い制度に全額を集中させないことが重要です。iDeCoや小規模企業共済は老後資金専用と割り切り、生活防衛資金(生活費6ヶ月分)は必ず別に確保してください。
50代でのフリーランスの生き方や準備については、フリーランス50代のこれから|始め方と成功する5つのステップとはでも詳しく解説しています。
よくある質問
Q:iDeCoと小規模企業共済、どちらから始めればいい?
A:どちらか1つだけ選ぶなら、小規模企業共済を先に始めることをおすすめします。
理由は2つです。1つ目は、廃業・解約時に「退職金」として受け取れる機能がフリーランスに必要だから。2つ目は、緊急時に低金利で借り入れできる「貸付制度」があり、万が一の時のセーフティネットになるからです。
iDeCoは60歳まで引き出せないため、収入が安定してから掛金を増やす判断ができます。余裕があれば両方同時に始めて構いません。確定申告での控除額が大きく変わります。
Q:収入が不安定なのに掛金を固定していいの?
A:心配しなくて大丈夫です。どちらの制度も掛金は変更できます。
iDeCoは月5,000円から1,000円単位で変更可能で、年1〜2回手続きできます。小規模企業共済も月1,000円から変更可能です。
ただし変更手続きには数週間かかるため、「余裕のある月の半分くらい」を基準に設定しておくとちょうどいいです。収入が不安定だからこそ、無理のない少額から始めて「継続する仕組み」を作ることが先決です。
Q:老後資金の目標額はいくらにすればいい?
A:個人差がありますが、「基礎年金以外に月10万円の収入を確保する」を目標にすると整理しやすいです。
月10万円 × 12ヶ月 × 20年 = 2,400万円が一つの基準になります。
まず「今の生活費の7〜8割」を老後の月額生活費の仮置きにして、基礎年金との差を計算してみてください。その不足分 × 想定老後年数が、準備すべき金額の目安になります。
まとめ
フリーランスの老後資金準備は、制度を知っているかどうかで結果が大きく変わります。
5つの制度まとめ
- iDeCo:月最大6.8万円、掛金全額所得控除+運用益非課税
- 小規模企業共済:月最大7万円、フリーランスの退職金代わり(iDeCoと別枠)
- 国民年金基金:iDeCoと合算上限、終身年金で長生きリスクに対応
- 付加年金:月400円、2年で元が取れる(国民年金基金と択一)
- 新NISA:運用益非課税、いつでも引き出せる柔軟な資産形成
始める順番の基本は「節税効果が高い制度から使い切る」です。
付加年金の申請 → 小規模企業共済 → iDeCo → 新NISA の順で整備していくと、税金の無駄が最小限になります。
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