「COBOL(コボル)って聞いたことあるけど、実はよく知らない…」
この記事では、COBOLの意味・特徴・歴史から、今も使われている理由、学ぶ価値や将来性までをやさしく解説します。
未経験でも安心して読める内容なので、「なんでいまだにCOBOLが現役なの?」と気になっている方にはピッタリです。
レトロだけど現役、そんなCOBOLの世界を、ちょっと覗いてみませんか?
COBOLとは? まずは基本を押さえよう
COBOLは「Common Business Oriented Language(コモン・ビジネス・オリエンテッド・ランゲージ)」の略で、事務処理向けに作られたプログラミング言語です。名前に“ビジネス”が入っている通り、帳簿の計算やデータ管理など、企業や役所の仕事に特化しています。
1960年代はじめ、アメリカのグレース・ホッパーという女性技術者と、業界の合同委員会「CODASYL(コダシル)」によって開発されました。当時はメーカーごとにバラバラの言語が使われていたため、共通して使える言語が求められていたんですね。
生まれてから60年以上。いまだに銀行や年金システムの中で活躍しているのは、ちょっと驚きです。
COBOLが生まれた背景と歴史
1950年代後半、コンピュータは今ほど身近ではなく、使うにも知識と忍耐が必要でした。企業では事務作業を自動化するために、さまざまな言語が登場していましたが、メーカーによってバラバラ。プログラムを他社の機械で動かすことも難しかった時代です。
そんななか、政府や企業が「どこでも動く、共通の言語を作ろう」と立ち上がったのがCODASYLという委員会でした。彼らが目指したのは、英語に近い書き方で、誰でも理解しやすく、事務作業を処理できる言語。そうして誕生したのがCOBOLです。
その後、米国政府も「これからはCOBOLで統一しよう」と宣言。標準化が進み、銀行や役所の業務で広く使われるようになりました。
COBOLの主な特徴とは?他の言語にはないユニークな点
特徴1:英語に近く、読みやすい
COBOLのコードは、まるで英文を読むような書き方です。専門用語を知らなくても、なんとなく意味がわかるような命令が並びます。
例えば、こんな感じ。
MOVE A TO B.
見た目はほとんど英語の文章。「AをBに移す」という意味ですが、英語がわかればなんとなく想像できますよね。プログラミング初心者にとって、とっつきやすい言語です。
特徴2:厳格なプログラム構造(4つのDIVISION)
COBOLのプログラムは、必ず4つの決まったパートでできています。まるでレゴブロックのように、きれいに組み立てられた構造です。
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IDENTIFICATION DIVISION:プログラムの名前や目的を書く
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ENVIRONMENT DIVISION:どんな機械や設定を使うかを指定
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DATA DIVISION:使うデータの種類や名前を定義
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PROCEDURE DIVISION:命令や処理の手順を書く
ルールがはっきりしていて、設計図が決まっているイメージです。最初は少し面倒ですが、慣れると迷わずにコードが書けます。
特徴3:事務処理・データ処理が得意
COBOLは、いわば**「事務仕事のプロ」**です。特に得意なのが、お金に関する計算や、大量の顧客データの処理。数字にうるさい銀行や保険会社が今もCOBOLを使っているのは、この信頼性が理由です。
例えば、
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固定小数点での正確な計算
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何万件もの取引データを高速で処理
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帳票の出力や月次レポートの自動作成
事務処理の現場で役立つ機能がたくさん詰まっている言語なんですね。今の最新言語にはあまりない「数字の正確さ」へのこだわりも魅力です。
COBOLは今どこで使われている? 現役で活躍する分野
よく使われている分野をまとめてみましょう。
では、なぜ今も使われ続けているのか?理由は3つあります。
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システムが安定していて壊れにくい
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何十年分ものプログラム資産がある
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金融や行政に特化した処理に強い
新しい技術が登場しても、COBOLの信頼感には根強い支持があるのです。
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COBOLを学ぶメリット・デメリットは?
「COBOLって勉強する意味あるの?」と思うかもしれません。古くからある言語だけに、学ぶメリットと気をつけたい点がそれぞれ存在します。
メリット
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COBOL技術者の求人が一定数ある
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古いシステムの保守・改修に関われる
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論理的なコード構造で基礎力がつく
最近では、若いエンジニアが少ないため、COBOLを学ぶだけで重宝されることもあります。
デメリット
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新しいサービスの開発案件は少ない
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記述が長く、現代の言語に比べて面倒
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学習環境を整えるのに少し手間がかかる
向いている人は「安定志向」「インフラ好き」「歴史ある技術に興味があるタイプ」かもしれません。
「COBOLは古い・オワコン」は本当? 将来性について
SNSやネット掲示板では「COBOLはもう終わった」なんて声も聞きますが、実際はどうなのでしょうか。
答えは、完全には終わっていませんが、変わりつつあるというのが現状です。
例えば、今のシステムをCOBOLから別の言語へ移行する「モダナイゼーション」の流れがあります。ただ、COBOLを完全に捨てるのは簡単ではありません。なぜなら、
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数十年分のシステム資産が膨大
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一部を移行しても、全体の安定性が損なわれる可能性がある
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COBOLを扱える技術者が足りていない
求人情報を見ても、COBOLエンジニアの募集は今も存在します。高齢の技術者が引退するなか、若手のCOBOL人材は貴重な存在になってきました。
未来が明るいとは言えませんが、「役割が終わった」と断言するのは早すぎます。
COBOLの学習方法
学習のステップは次の通りです。
まずはCOBOLの基本文法を理解します。例えば、IDENTIFICATION DIVISION.
や PROCEDURE DIVISION.
のように、コードが複数のブロックに分かれている点がポイントです。これは、COBOLが「書類っぽい形式」でプログラムを書く言語だからです。
次に、簡単なプログラムを書いて動かすことが大切です。たとえば、入力された数値を足し算するような処理を、画面に出力するプログラムを作るところから始めましょう。
環境の準備では、GnuCOBOLという無料の実行環境が使えます。オンラインで手軽に実行するなら、paiza.ioで試すのもアリです。
理解が深まったら、ファイル操作や条件分岐、ループ処理を学びましょう。業務システムでは、大量のデータをファイルで管理するので、ここがCOBOLの本領です。
最後に、実際の業務データを扱う模擬プロジェクトにチャレンジすると、実務にもつながります。請求書を出力したり、社員データを読み込んだりするような処理が良い練習になります。
COBOLは、今も安定した需要があります。古いけれど、習得すれば「レガシーシステムの救世主」になれる存在です。
COBOLの基礎を学ぶ
- COBOLのプログラム構成
- COBOLの節と段落 (SECTION, PARAGRAPH)
- COBOLのデータ部
- COBOLのDISPLAY命令
- COBOLのレコード記述項とレベル番号
- COBOLのPICTURE句
- COBOLのデータ項目と種類
- COBOLのデータ型(数値)
- COBOLのデータ型(文字)
- COBOLのMOVE命令
- COBOLのUSAGE句
- COBOLのVALUE句
- COBOLの定数定義
- COBOLの条件名条件
- COBOLの算術命令ADD
- COBOLの算術命令SUBTRACT
- COBOLの算術命令MULTIPLY
- COBOLの算術命令DIVIDE
- COBOLのCOMPUTE命令
- COBOLのファイル記述項FD宣言
- COBOLの条件分岐IF
- COBOLの多岐分岐EVALUAT
- COBOLのキーボード入力ACCEPT
- COBOLのPERFORM
- COBOLの繰り返しPERFORM VARYING
- COBOLのSTRING
- COBOLのUNSTRING
- COBOLのGO TO
- COBOLのデバッグ手法
- COBOLのファイル編成と種類
- COBOLのファイルOPEN CLOSE
- COBOLのREAD
- COBOLのWRITE
- COBOLのDELETE
- COBOLのSTART
- COBOLの配列
- COBOLのSET
- COBOLのSEARCH
- COBOLのINSPECT
- COBOLのサブルーチン
- COBOLのGOBACK / EXIT PROGRAM / STOP RUN 違い
- COBOLの組み込み関数活用
- COBOLのエラーメッセージ対処法
- COBOLのコーディング規約標準
- COBOLの帳票設計
- COBOLのリファクタリング手法
- COBOLのテストコード書き方
【まとめ】COBOLを知ることは、ITの歴史と現在を知ること
COBOLは古くから使われてきた言語ですが、今も多くの場所で動いています。読みやすさ、安定性、事務処理の強さなど、長年使われてきた理由には納得のポイントがたくさんあります。
COBOLを知ることは、昔のITの仕組みと今の基幹システムの背景を知ることでもあります。
「ちょっと興味出てきたかも?」という方は、次の記事で文法の基本を見てみてください。
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