プログラミングをしていると、予期せぬエラーや、もっと速く動けばいいのに!と思う場面がありますよね。そんな悩みを解決してくれるかもしれないのが、今、世界中で注目されているプログラミング言語「Rust」なんです。
Rustは、安全性と実行速度の両方を高いレベルで実現している、ちょっと画期的な言語。
この記事では、Rustの基本から、なぜそんなにスゴイのか、どうやって始めたらいいのかまで、プログラミング初心者の方にも肩の力を抜いて読めるように、じっくり解説していきます。
この記事を読むとこんなことがわかります。
- Rustがどんなプログラミング言語なのか
- Rustが持つ主な良い点(安全性、速度、並行処理)
- Rustがどんなことに使われているかの実例
- 他のよく知られた言語とRustの違い
- Rust学習の最初のステップ
読み終わる頃には、Rustの魅力がきっと伝わっているはず! ちょっと未来のプログラミングを覗いてみませんか?
そもそもRustとは?安全性と速度を両立する言語
さて、まずは基本から。「Rust」というのは、Mozilla(Firefoxブラウザを作っている会社ですね)で働くグレイ ドン・ホアーさんという方が個人的なプロジェクトとして開発を始め、後にMozillaの公式プロジェクトになったプログラミング言語です。特に「システムプログラミング言語」と呼ばれる分野に属します。
システムプログラミング言語って聞くと難しそうですが、簡単に言うと、パソコンのOS(WindowsやmacOSなど)やWebブラウザ、ゲームのエンジンのような、コンピューターの心臓部に近い、性能が求められる部分を作るのに向いている言語のことです。
Rustが作られた大きな理由は、C++という言語が持つ「実行速度の速さ」はそのままに、C++で起こりがちだった「メモリ関連のバグ」という大きな問題を解決したかったから。つまり、速くて、しかも安全なプログラムを作りたい!という想いから生まれた言語なんですね。
なぜ注目?Rustとはここが違う!3つの特徴
Rustが他の多くの言語と比べて、特に「おっ!」と思わせるスゴイ特徴が3つあります。細かい話は後でするとして、まずは名前だけでも覚えていってください。
- メモリ安全性の保証 - プログラムが動いている最中に起こる厄介なバグを、作る段階で防いでくれる仕組み。
- C/C++に匹敵する高速パフォーマンス - 実行速度がめちゃくちゃ速い!
- 安全な並行処理 - コンピューターの力を最大限に引き出す処理を、安全に書ける。
なんだか良さそうですよね? では、ひとつずつ、もう少し詳しく見ていきましょう。
特徴1:メモリ安全性の保証(バグ・脆弱性の原因を排除)
プログラミングをしていると、「メモリ」という言葉を聞くことがあるかもしれません。これはプログラムが作業するために使う机のようなもの。この机の使い方がマズいと、プログラムが突然止まったり(クラッシュ)、悪い人に利用される隙(脆弱性)が生まれたりします。
他の言語、例えばJavaやPythonなどは、「ガベージコレクション(GC)」という仕組みが、ある程度自動で机の上を片付けてくれます。これは便利なのですが、時々、片付けのためにプログラムが一瞬止まることがあるんです。
一方、RustはGCを使いません。その代わりに、「所有権」や「借用」といった独特のルールを設けています。
これは、例えるなら「物の貸し借りのルール」みたいなもの。「誰がそのデータを使っているか」「いつまで使っていいか」をプログラムを書く段階で厳しくチェックするんです。
ルール違反があると、プログラムを動かす前にコンパイラ(プログラムをコンピューターがわかる言葉に翻訳する係)が「ここ、危ないよ!」と教えてくれます。
これのおかげで、実行時のメモリ関連の厄介なバグを大幅に減らせる、というわけです。
特徴2:C/C++に匹敵する高速パフォーマンス
Rustで作られたプログラムは、とにかく動作が速いのが自慢です。なぜ速いかというと、いくつかの理由があります。
- ガベージコレクションがない - 上で説明したGCによる「お片付けタイム」がないので、プログラムが途中で止まることがほとんどありません。
- 機械語に直接翻訳される - プログラムを実行する前に、コンピューターが直接理解できる言葉(機械語)に翻訳されます。実行時に翻訳しながら動く言語(スクリプト言語など)に比べて、断然速くなります。
- ゼロコスト抽象化 - ちょっと難しい言葉ですが、プログラムを分かりやすく書くための機能を使っても、実行速度が犠牲にならないように設計されています。
ゲームのように一瞬の遅れも許されない分野や、大量のデータを扱うWebサーバーなどで、Rustが選ばれる大きな理由が、このパフォーマンスの高さにあるのです。
特徴3:安全な並行処理(マルチコアCPUをフル活用)
今のパソコンやスマホには、頭脳にあたるCPUの中に、計算を担当するコアという部分が複数入っているのが普通です(マルチコア)。たくさんのコアで同時に作業(並行処理)ができれば、プログラムはもっと速く動きます。
でも、この並行処理はプログラミングの中でも特に難しく、バグを作り込みやすい分野。「データ競合」といって、複数の作業が同じデータに同時にアクセスしようとして、予期せぬ結果を引き起こす、なんてことが起こりがちです。
Rustは、ここでもその力を発揮します。例の「所有権」システムが、データ競合のような並行処理特有の危険なバグを、プログラムを作る段階(コンパイル時)に検出してくれるんです。
だから、開発者は安心して、コンピューターの性能を最大限に引き出す並行処理を書くことができるようになります。マルチコアが当たり前の現代において、これは非常に強力な武器と言えるでしょう。
Rustとは何ができる言語?具体的な用途を紹介
じゃあ、実際にRustってどんなものを作るのに使われているの?と思いますよね。実は、かなり幅広い分野で活躍しているんです。
- Web開発
特にサーバーサイド(Webサイトの裏側)のプログラムを作るのに使われます。高速で安定したAPIサーバーなどを構築できます。また、WebAssembly(Wasm)という技術を使えば、Webブラウザ上でネイティブアプリ並みの速度で動くプログラムも作れます。 - コマンドラインツール(CLI)
開発者がターミナル(黒い画面)で使うような、便利な小回りの利くツールを作るのにも適しています。 - 組み込みシステム
家電や自動車など、限られたリソースで動く必要のある機器の制御にも使われ始めています。 - ネットワークサービス
高速で信頼性の高い通信が求められるサービスの開発にも向いています。 - OS開発
OSそのものや、OSの一部を作るのにも使われています。 - ゲーム開発
ゲームエンジン本体や、開発を効率化するツールの作成などに利用されています。
有名なところでは、チャットアプリのDiscordやデザインツールのFigma、クラウドサービスのAWSなど、私たちが普段使っているサービスの一部でもRustが活躍しているんですよ。
思った以上に、色々なことができる言語なんです。
他の言語とRustとはどう違う?初心者向け比較
プログラミング言語はたくさんありますよね。Rustは、他のよく知られた言語と比べて、どんな立ち位置なのでしょうか?
初心者の方が知っていそうな言語と、ざっくり比較してみましょう。
【関連記事】
> プログラミング言語「Rust」のメリット・デメリットを徹底解説!
> Rustで「できること」と「将来性」を徹底分析
PythonやJavaScriptとの比較
実行速度: Rustの方が圧倒的に速いです。
メモリ管理: PythonやJavaScriptはGCがありますが、Rustは所有権システムです。
得意分野: PythonはAIやデータ分析、Web開発。JavaScriptはWebフロントエンド。Rustはパフォーマンスと安全性が求められる分野。
Javaとの比較
メモリ管理: JavaはGC、Rustは所有権システム。
安全性: Rustはコンパイル時のチェックが厳しく、メモリ安全性が高いです。
得意分野: Javaは大規模な業務システムやAndroidアプリ。Rustはシステムプログラミングやパフォーマンス重視の分野。
C/C++との比較
メモリ管理: C/C++は手動管理で、バグを作り込みやすい側面があります。Rustは所有権システムで安全性を高めています。
安全性: Rustの方がメモリ安全性の面で格段に優れています。
学習: Rustの所有権システムは独特なので、C/C++経験者でも最初は戸惑うかもしれません。
得意分野: どちらもシステムプログラミングやゲーム開発など、パフォーマンスが求められる分野。Rustは安全性を加えたい場合に選ばれます。
どの言語が良い・悪いというわけではなく、それぞれに得意なこと、不得意なことがあります。Rustは特に「速度」と「安全性」を両立させたい場面で輝く言語だと言えますね。
Rustとは難しい?学習の始め方とポイント
ここまで読んで、「Rust、なんだか良さそうだけど、やっぱり難しそう…」と感じているかもしれません。
正直に言うと、Rustの学習は、他のいくつかの言語に比べると、少し骨が折れるかもしれません。特に、Rustの核心である「所有権」や「ライフタイム」といった概念は、他の言語にはない独特のものなので、最初は戸惑うことが多いでしょう。
でも、諦めるのはまだ早い! 難しい部分がある一方で、それを乗り越えるだけのメリットがあるのも事実。それに、Rustには学習者のための素晴らしい環境が整っているんです。
- 公式ドキュメントが超充実 - 「The Book」と呼ばれる公式の入門書(Webで無料で読めます!)は、非常に丁寧で分かりやすいと評判です。
- コミュニティが親切 - Rustを使っている人たちのコミュニティは、初心者に優しく、質問しやすい雰囲気があると言われています。
- コンパイラが親切 - エラーメッセージがとても丁寧で、「もしかして、こう書きたかったんじゃない?」と修正候補まで教えてくれることがあります。まるで先生みたいですね!
では、実際にRustを始めてみましょう。最初のステップは、Rustの開発環境を自分のパソコンにインストールすることです。
1. Rustのインストール
公式サイト(https://www.rust-lang.org/)にアクセスして、「Install」の指示に従うのが一番簡単です。通常は`rustup`というインストーラーを使って導入します。ターミナル(WindowsならコマンドプロンプトやPowerShell)を開いて、指示されたコマンドを実行するだけです。
2. Hello, world! プログラムの作成
インストールできたら、お約束の「Hello, world!」を表示するプログラムを作ってみましょう。まず、テキストエディタで`main.rs`という名前のファイルを作成し、以下の内容を記述します。(`.rs`がRustのソースファイルの拡張子です)
fn main() { println!("Hello, world!"); }
3. コンパイルと実行
ファイルを保存したら、ターミナルでそのファイルがあるディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行します。
rustc main.rs
これで`main.rs`がコンパイルされ、実行可能なファイル(Windowsなら`main.exe`、macOSやLinuxなら`main`)が生成されます。次に、生成されたファイルを実行します。
./main
(Windowsの場合は `main.exe` または `.\main.exe`)
ターミナルに `Hello, world!` と表示されれば成功です! これがRustプログラミングの第一歩です。
学習のポイントは、焦らないこと。特に所有権の概念は、すぐに完璧に理解できなくても大丈夫。実際にコードを書きながら、少しずつ慣れていくのがおすすめです。
公式ドキュメントを読み進めたり、簡単なプログラムをたくさん作ってみたりする中で、徐々に感覚が掴めてくるはずです。
Rustの基礎を学ぶ
【まとめ】Rustとは、挑戦する価値のある現代的な言語
さて、ここまでRustについて、その特徴から始め方までを見てきました。もう一度、Rustのすごい点をまとめておきましょう。
- メモリ安全 - 実行時の厄介なバグを未然に防ぐ仕組みがある。
- 高速 - C/C++並みの実行速度を誇る。
- 安全な並行処理 - マルチコアCPUの性能を安全に引き出せる。
これらの特徴は、現代のソフトウェア開発が抱える多くの課題に応えるものです。
学習には少し時間が必要かもしれませんが、信頼性が高く、パフォーマンスの良いソフトウェアを作りたいなら、Rustは間違いなく学ぶ価値のある言語です。
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