【COBOLのコーディング規約】標準的な考え方と実践ポイント - 失敗しない規約策定のために

2025年4月12日土曜日

COBOL

【COBOLのコーディング規約】標準的な考え方と実践ポイント - 失敗しない規約策定のために

COBOLのコーディング規約って、正直なところ「どう決めるのが正解なの?」って思いませんか?

チーム内でコードの書き方がバラバラだと、後で読むのが大変だったり、レビューで思わぬ時間がかかったり…。「あるある!」とうなずいた人もいるかもしれませんね。

この記事では、そんな悩めるCOBOL使いの皆さんに向けて、標準的なコーディング規約の考え方から、チームでうまく運用していくためのコツまで、まるっと解説します。

この記事で学べること

  • COBOLコーディング規約がなぜ必要なのか、その理由がわかる
  • 標準的な規約に盛り込むべき項目が理解できる
  • 読みやすいコードを書くための具体的な命名規則や構造化のコツがつかめる
  • チームで規約をうまく運用していくためのヒントが得られる
  • 自社やプロジェクトに合った規約を作るための考え方が身につく

なぜ今、COBOLコーディング規約の「標準」が重要なのか?

「昔ながらのCOBOLに、今さら規約なんて…」なんて思っていませんか?

いえいえ、とんでもない!むしろ、長年動き続けているシステムが多いCOBOLだからこそ、しっかりとしたコーディング規約がめちゃくちゃ効いてくるんです。

なぜかって?理由はいくつかありますよ。

  • 保守性が劇的に上がる
    書き方が統一されていると、誰が書いたコードでも理解しやすくなります。修正や機能追加が必要になったとき、コード解読にかかる時間がぐっと減るんです。これは未来の自分やチームメンバーへの最高のプレゼントになりますね!
  • コードの品質が安定する
    規約があれば、「こういう書き方は避けよう」「この命令はこう使おう」という共通認識が生まれます。結果として、読みにくかったり、思わぬバグを生んだりするコードが減り、全体の品質が底上げされます。
  • 開発のスピードがアップする
    読む時間、レビューする時間が短縮されれば、開発全体のスピードも自然と上がります。「えっと、この変数なんだっけ…?」と悩む時間が減るのは大きいですよ。
  • コードの属人化を防げる
    「あの部分のコードは〇〇さんしか分からない…」なんて状況、避けたいですよね。規約に沿って書かれていれば、担当者が変わっても引き継ぎがスムーズに進みます。
  • 新メンバーが早く戦力になる
    新しいメンバーが入ってきたとき、規約があれば「まずこれを読んでね」と渡せます。コーディングスタイルの基本を効率よく学んでもらえるので、立ち上がりが早くなります。

逆に、規約がない、あるいはあっても守られていないとどうなるでしょう…?

  • コードの品質がバラバラで、バグが見つけにくい…
  • レビューで毎回同じような指摘が繰り返され、時間がかかる…
  • ちょっとした修正にも時間がかかり、保守コストがどんどん膨らむ…
  • 特定の人がいないと、誰も触れないブラックボックスが生まれる…

うーん、考えただけでもちょっと大変そうですよね。

しっかりした規約は、単なるルールではなく、チームの開発をスムーズにし、システムの寿命を延ばすための土台なんです。

標準的なCOBOLコーディング規約に含めるべき必須項目

じゃあ、具体的にどんなことを規約で決めればいいんでしょうか?

もちろん、プロジェクトの特性によって細かい部分は変わってきますが、「これだけは押さえておきたい!」という標準的な項目があります。ここでは、その代表的なものをいくつか紹介しますね。

大切なのは、ただ項目を並べるだけじゃなく、「なぜそう決めるのか?」という理由もセットで考えること。理由がわかれば、みんな納得して規約を守りやすくなります。

  1. 命名規則
    変数名、プログラムID、セクション名、COPY句名など、プログラムに出てくるあらゆる「名前」の付け方のルールです。これが統一されているだけで、コードの読みやすさが段違いに変わります。(詳しくは次の見出しで!)
  2. 書き方のスタイル
    インデント(字下げ)の幅、コメントの書き方、大文字・小文字の使い分け、1行あたりの文字数制限など、見た目の整形に関するルールですね。コードの見た目が揃っていると、構造が把握しやすくなります。
  3. プログラムの構造
    処理の塊をどう分けるか(モジュール化)、繰り返し処理(PERFORM)や条件分岐(IF、EVALUATE)の書き方、GO TO文は使うべきか否かなど、プログラム全体の骨組みに関するルールです。これも保守性に大きく関わってきます。(これも次の見出しで深掘り!)
  4. データ項目の定義
    WORKING-STORAGE SECTIONなどでデータ項目を定義するときのルールです。レベル番号の付け方、PICTURE句の書き方、VALUE句での初期値設定など、細かいけれど、データ構造を分かりやすくするために欠かせません。
  5. 禁止・非推奨の命令や書き方
    例えば、「ALTER文は使わない」「特定のオプションは避ける」など、バグの原因になりやすかったり、読みにくくなったりする特定の命令や書き方を制限するルールです。過去の失敗から学んだ知恵が詰まっていることも多いですね。

これらの項目について、「うちのチームではどうするのがベストかな?」と考えていくのが、規約作りの第一歩になりますよ。

規約の核となる「命名規則」の考え方

数ある規約項目の中でも、特にコードの読みやすさを左右するのが「命名規則」です。

だって、プログラムって変数や手続きの名前だらけですからね!名前が分かりやすければ、そのコードが何をしているのか、すっと頭に入ってきやすくなります。

じゃあ、どんな点に気をつけて名前を付ければいいんでしょうか?

  • 意味がわかる名前をつける
    これが一番の基本!例えば、`WS-A`, `WS-B` みたいな名前じゃなくて、`WS-CUSTOMER-NAME`(顧客名), `WS-TOTAL-AMOUNT`(合計金額)のように、その変数が何を表しているのか一目でわかる名前をつけましょう。
  • 略語はルールを決めて使う
    長い名前を短くするために略語を使うのはOKですが、使うならチーム内で共通のルールを決めましょう。例えば、「CUSTOMER」は「CUST」、「NUMBER」は「NO」や「NUM」にする、といった具合です。人によって略し方が違うと、結局読みにくくなってしまいます。
  • 単語の区切り方を統一する
    複数の単語をつなげて名前を作る場合、区切り方を統一します。COBOLではハイフン(`-`)でつなぐのが一般的ですね。`WS-CUSTOMER-NAME` のように。アンダースコア(`_`)は使わない方が無難でしょう。
  • データ型や用途がわかる接頭辞・接尾辞をつける(プレフィックス・サフィックス)
    例えば、作業領域(Working-Storage)の変数は `WS-` で始める、入力ファイルは `IN-`、出力ファイルは `OT-` で始める、といったルールがあると、変数の役割が把握しやすくなります。これもチームで決めると良いですね。
  • プログラムIDやセクション名も分かりやすく
    変数名だけでなく、プログラムID(`PROGRAM-ID`)やセクション名、パラグラフ名も、その処理内容が推測できるような名前にしましょう。「MAIN-PROCESS」とか「READ-INPUT-FILE」とか、具体的な名前が良いですね。

命名規則はコードの読みやすさを決める超基本! 面倒くさがらずに、分かりやすい名前をつける習慣をつけましょう。

最初はちょっと手間がかかるように感じるかもしれませんが、後々のデバッグや保守の楽さを考えれば、絶対にお得ですよ!

保守性を左右する「プログラム構造」の規約

命名規則と並んで、プログラムの保守性に大きく影響するのが「プログラム構造」に関する規約です。

どんなに名前が分かりやすくても、処理の流れがぐちゃぐちゃ、いわゆる「スパゲッティコード」になっていたら、修正するのも一苦労ですよね。

読みやすく、修正しやすいプログラム構造を作るためのポイントを見ていきましょう。

処理は適切に部品化(モジュール化)する

一つの大きな処理の塊を作るのではなく、関連する処理ごとにセクションやパラグラフ、あるいは別のプログラム(サブルーチン)に分けましょう。

部品化することで、それぞれの処理の役割が明確になり、修正の影響範囲も限定できます。目安として、「一つのセクション/パラグラフは画面1スクロールに収まるくらい」などをルールにするのも良いかもしれません。

PERFORM文をうまく使う

部品化した処理を呼び出すには `PERFORM` 文を使いますよね。

`PERFORM SECTION-NAME.` や `PERFORM PARAGRAPH-NAME.` を基本とし、`PERFORM ... THRU ...` は処理の流れが分かりにくくなることがあるので、使う場面を限定する、などのルールを決めておくと良いでしょう。

IF文やEVALUATE文のネストは浅くする

条件分岐(`IF`文や`EVALUATE`文)が何重にも深くネスト(入れ子に)なっていると、条件が非常に分かりにくくなります。

「ネストは3階層まで」のように制限を設けたり、複雑な条件は別の判定用セクションに分けたりする工夫が必要です。

GO TO文は原則使わない

言わずもがなかもしれませんが、`GO TO` 文は処理の流れをあちこちに飛ばしてしまうため、プログラムを非常に追いかけにくくします。

基本的には使わない方針とし、もし使う場合でも、例えばエラー処理で特定の場所にジャンプするなど、ごく限定的な場面に限り、かつルールを明確にしておくべきでしょう。`PERFORM` や `IF`, `EVALUATE` を使えば、ほとんどの処理は `GO TO` なしで書けるはずです。

構造化されたプログラムは、将来の自分を助けます!

プログラムを書いているときは夢中になってしまいがちですが、一歩引いて、

「この構造は分かりやすいかな?」
「後で修正しやすいかな?」

と考える癖をつけると、ぐっと保守性の高いコードになりますよ。

例えば、こんな感じの簡単な計算プログラムでも、構造を意識できます。

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. SAMPLE-STRUCTURE.

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 WS-INPUT-A      PIC 9(3).
01 WS-INPUT-B      PIC 9(3).
01 WS-RESULT       PIC 9(5).
01 WS-ERROR-FLAG   PIC X(1) VALUE 'N'.
   88 IS-ERROR      VALUE 'Y'.

PROCEDURE DIVISION.
MAIN-PROCESS SECTION.
    PERFORM INITIALIZE-DATA.
    PERFORM ACCEPT-INPUT.
    IF NOT IS-ERROR THEN
        PERFORM CALCULATE-PROCESS
        PERFORM DISPLAY-RESULT
    ELSE
        PERFORM DISPLAY-ERROR
    END-IF.
    STOP RUN.

INITIALIZE-DATA SECTION.
    MOVE ZERO TO WS-INPUT-A, WS-INPUT-B, WS-RESULT.
    MOVE 'N' TO WS-ERROR-FLAG.

ACCEPT-INPUT SECTION.
*> ここで入力処理を行う想定 (エラーがあれば WS-ERROR-FLAG に 'Y' をセット)
    DISPLAY "Input A (3 digits): ".
    ACCEPT WS-INPUT-A.
    DISPLAY "Input B (3 digits): ".
    ACCEPT WS-INPUT-B.
*> 簡単な入力チェック例
    IF WS-INPUT-A IS NOT NUMERIC OR WS-INPUT-B IS NOT NUMERIC THEN
        MOVE 'Y' TO WS-ERROR-FLAG
    END-IF.

CALCULATE-PROCESS SECTION.
    COMPUTE WS-RESULT = WS-INPUT-A + WS-INPUT-B.

DISPLAY-RESULT SECTION.
    DISPLAY "Result: " WS-RESULT.

DISPLAY-ERROR SECTION.
    DISPLAY "Input Error!".

このように、処理の単位でセクションを分けて `PERFORM` で呼び出すようにすると、メインの処理 (`MAIN-PROCESS`) がすっきりして、全体の流れが追いやすくなりますね。

チームでコーディング規約を成功させるための運用と定着のコツ

さて、ここまでで標準的な規約の項目や考え方を見てきました。

「よし、これで完璧な規約が作れるぞ!」…と、その前に。どんなに立派な規約を作っても、それがチームの中でちゃんと使われ、守られていかないと意味がないですよね。

ここでは、作った規約を絵に描いた餅にしないための、運用と定着のコツをお伝えします。

みんなで作る意識を持つ

誰か偉い人が一方的に決めたルールって、なんだか押し付けられている感じがしませんか? 

そうではなく、規約を作る段階から、できるだけチームのメンバーに関わってもらうのがおすすめです。「こういう場合はどう書くのがいいと思う?」みたいに、意見交換しながら作っていくと、みんなが「自分たちのルール」として納得感を持ちやすくなります。

作っただけじゃなく、ちゃんと知らせて教える

規約が完成したら、「はい、これ読んどいて」だけじゃダメ。

勉強会を開いたり、朝会などで少しずつ説明したりして、規約の内容と「なぜそう決めたのか」という背景をしっかり共有しましょう。特に新しいメンバーには、丁寧に教える機会を設けるのが親切ですね。

コードレビューで確認しあう文化を作る

規約が守られているかを確認する一番良い方法は、コードレビューです。

レビューでお互いのコードを見るときに、「あ、ここの書き方、規約とちょっと違うかも?」「この命名、もっと分かりやすくできるかな?」みたいに、規約を意識してフィードバックし合う習慣をつけましょう。

指摘することが目的ではなく、お互いに学び合い、コードの品質を高めていく、という前向きな雰囲気が作れると最高です。静的解析(コードを自動チェックする仕組み)を導入するのも有効ですよ。

定期的に見直してアップデートする

一度決めた規約が未来永劫ベストとは限りません。開発を進める中で、「このルール、ちょっと実情に合わないな」「もっと良い書き方が見つかった」なんてことも出てくるはず。

だから、半年に一回とか、年に一回とか、定期的に規約を見直す機会を設けましょう。時代遅れになったルールは削除し、新しい知見を取り入れて、常に「生きた規約」にしていくことが必要です。

違反=罰ではなく、改善のきっかけに

規約違反を見つけたときに、「なんで守らないんだ!」と責めるのは逆効果。それよりも、「どうしてこの書き方になったんだろう?」「もしかして規約が分かりにくかったかな?」と考えて、改善につなげる文化を作りましょう。

規約はチームメンバーを縛るためのものではなく、みんなで良いものを作るための共通言語なのですから。

チーム全員で規約を育てていく、という意識を持つことが、運用・定着への一番の近道かもしれませんね。

【まとめ】標準規約を参考に、自社/プロジェクトに最適な規約へ

さて、【COBOLのコーディング規約】について、標準的な考え方から実践のポイントまで、一通り見てきましたがいかがでしたか?

コーディング規約をしっかり定めて運用することは、

  • コードの品質を上げ、
  • 保守をしやすくし、
  • チームの開発効率を高め、
  • 結果としてプロジェクトの成功につながる

という、たくさんのメリットがあることを感じていただけたかと思います。

この記事で紹介した内容は、あくまで「標準的な考え方」です。

一番やってほしいのは、ここで得た知識をベースにして、「自分たちのチームやプロジェクトにとっては、どんな規約が一番合っているんだろう?」と考えて、カスタマイズしていくことです。

業界標準や他社の事例を参考にするのはもちろん良いことですが、それを鵜呑みにするのではなく、自分たちの開発スタイル、扱うシステムの特性、メンバーのスキルレベルなどを考慮して、最適なルールを作り上げていってください。

そして、作った規約は定期的に見直し、改善し続けること。
規約は、一度作ったら終わりではありません。チームと一緒に成長させていくものなのです。

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