【COBOLのレガシーシステム】課題と現状をわかりやすく解説

2025年4月13日日曜日

COBOL


COBOLのレガシーシステムが抱える課題
について、気になっていませんか?

「COBOLって名前は聞くけど…」「レガシーシステムって、何がそんなに問題なの?」と感じているプログラミング初心者の方、多いかもしれませんね。

この記事では、そんな疑問にズバリお答えします!COBOLってどんな言語なのか、レガシーシステムとは何なのか、そしてCOBOLでできたシステムがどんな課題を抱えているのか、その現状まで、図などを交えながら初心者の方にもわかりやすく解説を進めていきます。

この記事でわかること

  • COBOLってどんなプログラミング言語?
  • レガシーシステムって、具体的にどういう状態のこと?
  • COBOLのシステムが抱えがちな問題点リスト
  • なんで、これらの問題を知っておくと良いのか?

IT業界の「今」を知る上で、きっと役立つ知識になるはず。さあ、一緒に見ていきましょう!

COBOLとは? - 今も社会を支えるプログラミング言語


まず、COBOL(コボル)について簡単に紹介しますね。

COBOLは、なんと1959年に生まれた、かなり歴史のあるプログラミング言語なのです。むかーし昔、コンピュータが部屋いっぱいの大きさだったような時代から活躍しているんですよ。

主に、銀行や保険会社、国や役所、大企業の経理や人事といった、お金の計算や大量の事務データを扱う「ビジネス分野」でめちゃくちゃ使われてきました。 「古い言語なんでしょ?」と思うかもしれませんが、実は今でも現役バリバリ!

なぜなら、当時のシステムが安定して動き続けていて、止めるに止められない…という事情もあるのですが、COBOL自体が

  • お金の計算(特にお金!)が得意
  • 大量のデータを正確に処理できる
  • 比較的、英語に近い書き方で(当時の基準では)読みやすい

といった特徴を持っていたからなのです。
まさに、社会の基盤を陰で支える「縁の下の力持ち」みたいな言語だと言えるでしょう。

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COBOLのレガシーシステムとは何か? - 「古い」だけじゃないその意味


次に「レガシーシステム」について。

レガシー(Legacy)は「遺産」なんて意味がありますが、ITの世界ではちょっとニュアンスが違います。

単に「古いシステム」というだけではなくて、

  • 作られてから長い時間が経っている
  • 使っている技術や設計思想が今の時代に合っていない
  • 機能を追加したり、修正したりするのがすごく難しい
  • 詳しい人が少なくなってきている
  • 維持するためにお金がたくさんかかる
  • システムの設計図や説明書(ドキュメント)がちゃんと残っていない

といった、「扱いにくくなったお古のシステム」全般を指すことが多いです。

例えるなら、何度も増改築を繰り返して、どこにどの柱があるのか、配線がどうなっているのか、もう誰にもよくわからない古い建物みたいなイメージでしょうか。

長年、私たちの生活や仕事を支えてきてくれた「価値ある遺産」ではあるのですが、同時に「扱いが大変な悩みのタネ」にもなっている状態、それがレガシーシステムなのです。

なぜCOBOLシステムはレガシーシステムの課題を抱えやすいのか?


では、どうしてCOBOLで作られたシステムは、レガシーシステムとして課題を抱えやすいのでしょうか?

これはCOBOLが悪い!という単純な話ではありません。

いくつかの理由が考えられます。

  • 作られた時代が古い
    コンピュータ技術がまだ発展途上だった頃に作られたシステムが多く、今の常識とは違う作り方をしていることがあります。
  • 非常に長く使われ続けている
    社会の基幹業務(止まると非常に困る仕事)で使われていることが多く、簡単には新しいシステムに置き換えられず、結果として長寿システムになりやすいのです。
  • 長年の継ぎ足し開発
    長い年月をかけて、たくさんの人が機能追加や修正を繰り返してきた結果、システム全体が複雑化してしまったケースがあります。
  • 当時の開発スタイル
    昔は今ほどドキュメントを残す文化が徹底されていなかったり、開発のやり方も異なっていたりした影響も考えられます。

つまり、歴史が長いからこそ、そして社会にとってなくてはならないシステムとして活躍してきたからこそ、結果的にレガシーシステムとしての課題を抱えやすくなってしまった、と言えるでしょう。

COBOLのレガシーシステムが抱える主な課題


さあ、いよいよ本題です!

COBOLでできたレガシーシステムは、具体的にどんなことで困っているのでしょうか?
よく聞かれる主な課題を、ここから1つずつ見ていきましょう。

課題1:システムの複雑化とブラックボックス化

これが一番よく聞く課題かもしれません。

システムが長年使われ、たくさんの人が機能追加や修正を繰り返していくうちに、プログラムのコードがどんどん複雑になってしまうのです。

「こっちを直したら、あっちがおかしくなった!」なんてことが起こりやすく、修正するのも一苦労。

まるで、ごちゃごちゃに絡まったパスタみたい…「スパゲッティコード」なんて呼ばれることもあります。

最終的には、システムの全体像や細かい動きを誰も正確に把握できなくなってしまい、「ブラックボックス(中身が見えない箱)」のような状態に陥ってしまうのです。

こうなると、ちょっとした変更ですら、ものすごく時間がかかったり、予期せぬトラブルが発生したりするリスクが高まります。

複雑化のイメージ
----------------------------------
|  初期システム (シンプル)        |
----------------------------------
          ↓ (機能追加A)
----------------------------------
|  システム + A (少し複雑)      |
----------------------------------
          ↓ (機能追加B, 修正C...)
----------------------------------
| システム + A + B + C... (超複雑)|
|   (絡み合って全体像不明)       |
----------------------------------
          ↓
      ブラックボックス化!

課題2:COBOL技術者の高齢化と深刻な人手不足

これも非常に大きな問題です。

COBOLに詳しい、いわば「COBOL職人」さんたちが、どんどん高齢化し、引退していく時期に来ています。

一方で、これからプログラミングを学ぶ若い人たちは、Web系やアプリ開発系の新しい言語を選ぶことが多く、COBOLを専門に学ぼうという人がなかなか増えていません。
その結果、「システムの面倒を見る人がいなくなるかもしれない!」という深刻な人手不足が起きているのです。

知識や経験を持った人がいなくなると、残されたシステムの保守や改修はますます難しくなり、最悪の場合、誰も触れない…なんて事態も起こりかねません。

課題3:高止まりする維持・運用コスト

レガシーシステムを使い続けるのって、実はお金がかかるんです。

なぜかというと…

  • 複雑なシステムの保守が大変
    課題1で触れたように、複雑でブラックボックス化したシステムの面倒を見るのは骨が折れます。調査や修正に時間がかかり、人件費がかさむのです。
  • 技術者不足による人件費の高騰
    課題2のように、COBOLを扱える人が少ないため、貴重な人材の給料は高くなる傾向があります。
  • 古いハードウェアやソフトウェアの維持費
    システムが動いているコンピュータ本体(ハードウェア)や、関連するソフトウェアが古いままだと、その保守サポート費用も必要になります。場合によっては、もうメーカーのサポートが終了している!なんてことも。

このように、いろいろな要因が重なって、システムの維持だけで会社の予算がかなり圧迫されてしまうケースも少なくないのです。

課題4:新しい技術やサービスとの連携の難しさ

今の時代、スマホアプリと連携したり、Web上で便利なサービスを使ったりするのが当たり前になっていますよね。

ところが、昔ながらのCOBOLレガシーシステムは、こうした「イマドキの技術」と、なかなか仲良くなれないことが多いのです。

システムの基本的な作りが古かったり、外部とデータをやり取りする仕組みが整っていなかったりするため、新しいシステムやサービスとスムーズに連携させることが難しい傾向にあります。

「もっと便利なサービスを導入したいのに、基幹システムが古くて連携できないから諦める…」なんてことが、ビジネスのスピードを遅らせる原因にもなっています。

課題5:ドキュメント不足による属人化

システムを開発したり、改修したりするときには、普通「設計書」や「仕様書」といった説明書(ドキュメント)を作ります。

しかし、レガシーシステムでは、このドキュメントが

  • そもそも存在しない
  • 作られた当初の古い情報のまま更新されていない
  • 内容が不十分で役に立たない

というケースがよくあります。

ドキュメントがないと、システムの詳しい動きを知るためには、実際のプログラムコードを解読するか、昔からそのシステムを知っている人に聞くしかありません。

結果として、「あの人にしかわからない」「あの人がいないと何もできない」という「属人化」が進んでしまうのです。まさに『秘伝の技』状態ですが、その人が異動や退職してしまったら…と考えると、非常にリスキーな状態だと言えます。

COBOLのレガシーシステムの課題と影響とは?

ここまで見てきたCOBOLレガシーシステムの様々な課題。
これらが積み重なると、企業や社会にどんな影響が出てくるのでしょうか?

  • ビジネスの変化に対応できない
    新しいサービスを始めたい、業務のやり方を変えたいと思っても、システムの改修が難しくて時間がかかり、ビジネスチャンスを逃してしまう。
  • システム障害のリスクが高まる
    複雑で老朽化したシステムは、予期せぬエラーやバグが発生しやすく、ある日突然システムが止まってしまうリスクを抱えています。社会インフラを支えるシステムだと影響は甚大です。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない
    企業がデジタル技術を活用して変革を進めようとしても、基幹となるレガシーシステムが足かせとなって、思うように進められない。
  • セキュリティ面での不安
    古いシステムは、最新のセキュリティ対策が施しにくい場合があり、サイバー攻撃などの標的になるリスクも考えられます。
  • 技術者のモチベーション低下
    古い技術や、改修の難しいシステムばかりを扱っていると、エンジニアのモチベーションが上がりにくい…なんて声も聞かれます。

このように、COBOLレガシーシステムの課題は、単なる技術的な問題にとどまらず、企業の競争力や、場合によっては社会全体の安定にも関わってくる話なのです。

【まとめ】COBOLのレガシーシステムの課題を理解する意義

今回は、COBOLのレガシーシステムが抱える課題とその現状について、初心者の方にもわかりやすく解説してみました。

主な課題として、

  • システムの複雑化・ブラックボックス化
  • 技術者の高齢化・人手不足
  • 高い維持・運用コスト
  • 新しい技術との連携の難しさ
  • ドキュメント不足による属人化

といった点を見てきましたね。

「なんだか大変そうな話だな…」と感じたかもしれません。
でも、プログラミングを学び始めたばかりの皆さんが、こうしたIT業界の「リアルな一面」を知っておくことは、実はとても有意義なのです!

  • 今動いている社会の仕組みの裏側を知ることができる
  • どんな分野で技術者が求められているかのヒントになる
  • 新しい技術を学ぶことの価値を再認識できる

など、皆さんのこれからの学習やキャリアを考える上で、きっと視野が広がるはず。
課題を知ることは、未来の解決策を考える第一歩です。

もしかしたら、皆さんがこれから身につける新しい知識やスキルが、こうしたレガシーシステムの課題を解決する力になるかもしれませんよ!

この記事が、COBOLやレガシーシステムへの興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

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リモートワークでエンジニア兼Webディレクターとして活動しています。プログラミングやAIなど、日々の業務や学びの中で得た知識や気づきをわかりやすく発信し、これからITスキルを身につけたい人にも役立つ情報をお届けします。 note → https://note.com/yurufuri X → https://x.com/mnao111

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